やっぱりMONOが好き

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モニタリングヘッドホンの選び方とCD900STとの違いについて

このブログではマイクの使い方の解説をしました。

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基本的な録音ができるようになったら、次は音質が問題になってくると思います。わたしは動画編集の仕事で、納品された音声を扱うことが多いのですが、この経験から言える、モニタリングヘッドホンの選び方についてご紹介していきたいと思います。

モニタリングヘッドホンを選ぶときの基準

音質というあいまいな基準を考えるとき、わたしが一番重要視するのはYouTubeなどでの視聴に耐えられるかどうかです。どれほどコンテンツが良くても、聴いていられないほどの音質では、再生回数を稼ぐことができません。

 

ASMRというジャンルは別として、YouTubeなどを再生する視聴者は、良くてパソコンのスピーカー、大抵はiPhoneなどのスマホのスピーカーで聴いているでしょう。どれだけ高音質にしても伝わらない部分が出てきます。

 

一方で、聴いていられないほどに音質が悪いと、再生されたとしてもすぐに離脱します。すぐに離脱されるコンテンツが再生回数を稼ぐことはまずあり得ません。

 

一般的なスピーカーやヘッドホンは、音質が良くなるように作られています。中音域が持ち上げられたり、低音が響くようになっていたり、音楽鑑賞用のスピーカーやヘッドホンの音を良くすることが、音響機器を作るメーカーが努力する部分です。

 

対して、モニタースピーカーやモニタリングヘッドホンに求められる性質は、原音にいかに忠実かという部分です。音が録音された、そのままの音で再生することが求められます。そのままの音で再生されるからこそ、想定している視聴者がどのように聴こえるのか判断できるわけです。

モニタリングヘッドホンは、音質が良いかどうかではなく、原音に忠実かどうかで選ぶ方がいいでしょう。

モニタリングヘッドホンの標準「MDR-CD900ST」について

このMDR-CD900STというヘッドホンは、徹底的に原音に忠実な音、モニタリングに適した音にするため、メーカーのSONYとSONYミュージックとが共同して開発したヘッドホンです。

 

実際にライブ録音された音源を聴いてみると、ギターアンプからノイズが出ているとわかるくらいに忠実な音が鳴ります。つまりそれだけ、録音時の問題もわかりやすくなります。わたしの聴いた印象では、中音も低音も出っ張りがないフラットな音でかなり鮮やかな音が鳴る、という印象です。

 

MDR-CD900STはモニタリングを目的として作られた結果、レコーディングエンジニアに広く受け入れられた歴史があります。どこのスタジオに行っても置いてある、という状況もありますが、これまで広く受け入れられた実績から、モニタリングに最適だという安心感もあります。

 

もし、音声を録音するだけでなく、音楽のマスタリングもしたいのであれば、このMDR-CD900STを最初に購入するといいでしょう。業界標準がどのような音なのかがわかるようになります。YouTubeのナレーション音声だけ録音するということであれば、ここまで高価なヘッドホンは必要ないと思います。

Amazonで激安のモニタリングヘッドホン

このモニタリングヘッドホンは、わたしがYouTubeの収益化を担当したときにずっと使っていたヘッドホンです。

 

とても安価なモニタリングヘッドホンです。音源を聴いてみると音圧があまりなく、CD900STと比べると鮮やかさがありません。しかし、モニタリングヘッドホンに求められる「原音に忠実である」という特性はちゃんと持っていて、耳触りが良いように低音や中音が強調されるようなことはありません。

 

この原音に忠実な特性は、ノイズを聞き分けるのに役立ちます。録音時の電源ノイズや「ペチッ」「パチッ」というリップノイズも聞き分けることができます。YouTubeのナレーションを録音したり編集したりするなら十分な特性を持っています。

 

セミ・オープン型なので、夏に作業するときにも蒸れませんし、耳全体を覆うタイプのヘッドホンなので耳が痛くなることもないオススメのヘッドホンです。

モニタリングヘッドホンを使ってノイズを取る方法

では、モニタリングヘッドホンを使って、実際にわたしが声優さんの音声を扱うときに行っている作業を紹介したいと思います。

これは声優さんから納品された音声です。再生してみると矢印の部分に「ペチッ」というリップノイズと、録音を停止したときに出る「ブツッ」というノイズがあることがわかります。これはモニタリングヘッドホンでないとわからないくらいのノイズです。

納品された音声

 

ノイズが出ている部分を削除します。

削除

 

削除した部分が逆に「ブツッ」というノイズになる可能性があるので、ナレーションの語尾の部分を少しだけフェードアウトにします。

フェードアウト

 

これで最初のリップノイズが取れました。

リップノイズが取れた

次は、「ブツッ」というノイズを削除するわけです。

 

このノイズを取る作業は非常に時間がかかりますが、ノイズの少ない声優さんだとノイズ取りがほとんど必要ないくらいの場合もあります。ノイズを取る際には息継ぎ(ブレス)のノイズは削除しない方がいいでしょう。人間がしゃべっている感覚がなくなってしまいます。

 

リップノイズなどは、モニタリングヘッドホンでないとわからないくらいのノイズですが、丁寧に取ってやると、スピーカーで再生したときにも透明感のある音声になります。すべてのノイズを削除することは不可能に近い時間がかかるのでモニタリングしながら良い音声にしていきます。

 

音声とかぶっている電源ノイズなどは、このように削除することができません。この場合は、エフェクターを使って削除することもあります。このエフェクターを使えば、ほぼ完璧に背景ノイズが削除できます。

すごい時代になりましたね。

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