わたしは動画編集を仕事にしていますが、一番気を使っているのは音声が聴きやすいかどうかです。いかに良い内容の動画でも音声が聴きにくいと視聴者は離脱します。そこで、聴きやすい音声の基本となるコンプレッサーの設定について、とても簡単に解説していきます。
フリーのコンプレッサーを使ってナレーションを聴きやすく
コンプレッサーの説明はいまさら必要ないかもしれませんが、簡単に説明しておくと、大きすぎた音声を圧縮して小さくするものです。ナレーションの音声といっても声が大きすぎたり小さすぎたりします。これを整えることで聴きやすいナレーション音声を作るわけです。
Thresholdを超えてしまった音声を、Ratioの設定にしたがって圧縮する(コンプする)というのが基本的な使い方になります。
初心者にも使いやすい、フリーのコンプレッサーはこの「TDR Morotok」です。
Mac版もWindows版もフリーで使えるのがうれしいですね。
インストールして早速使っていきましょう。
まずコンプがかかり始めるタイミングを「ATTACK」で設定しますが、ナレーションであれば最小値にしておけば大丈夫です。
次に音声の大きさを見ながら、THRESHOLDの値を下げていきます。THRESHOLDのつまみに声の大きさが表示されているのでわかりやすいですね。
普通の声を出したときにちょっとグラフが反応するくらいまでTHRESHOLDを下げていきましょう。大きな声を出したときには大きくメーターが反応する、つまり強く圧縮されます。
難しそうに思えるコンプレッサーの設定ですが、これだけ設定すれば最低限の設定はできています。これがTDR Morotokをおすすめする理由ですね。ちょっとVUメーターで声の大きさを測定してみましょう。
マイナス一桁dbくらいの音量が出ているので、十分な声量になっています。
ちなみにこのVUメーターもフリーで使えるものです。
フリーのコンプレッサーを使ってナレーションの音量を稼ぐ
動画編集の仕事をしていると、元々のナレーションの音量が小さくて、コンプレッサーだけでは音量が稼げないことがあります。マイクの音量が小さいという悩みを持っているひとも多いですね。コンプレッサーを使って音量を稼ぐこともできます。
この「MAKEUP」のつまみを上げると、OUTPUTの音量を上げることができます。
MAKEUPを上げて、VUメーターで測定してみるとさっきよりも音量が上がっています。
MAKEUPで音量を稼ぐよりは、GAINをちょっと大きくして、声も大きめに出すことで音量を確保したほうが、ノイズの少ない音声になります。
コンプレッサーでナレーションを編集する意味は?
最初にナレーションの大きさを整えると説明しましたが、グラフで見てもらったほうがコンプレッサーのイメージが掴みやすいでしょう。このグラフは、コンプレッサーをかけてからメイクアップで音量を稼いだ場合と、単純に音量だけ稼いだ(ノーマライズした)音声の波形です。
コンプレッサーをかけると、大きい声と小さい声の差が小さくなります。一方のノーマライズしただけの音声では、差が大きいままになっています。人間の声は思ったよりも大きすぎたり小さすぎたりするので、ナレーションにコンプレッサーをかけて聴きやすくするのはほぼ必須の処理だと考えています。
コンプレッサーを使うと、音の大きさが揃えられるということは、ノイズが大きくなってしまうということでもあります。このノイズを除去するアプリをいろいろ探してみたので合わせて参考にしてください。