YouTubeのディレクターをしているのですが、クライアントから「気持ちBGMを小さめに」という要望をいただきます。しかし具体的にどれくらい小さめにしたらいいのか、動画編集の担当に伝えるのが難しかったりします。あなたが動画編集の担当だとしたら、気持ち小さめではわかりませんよね。
こういう音の大きさ(=ラウドネス)を管理するときに知っておきたい単位、LUFSとdBについてまとめておきます。
動画編集のラウドネス指標「LUFS」とは?
YouTubeのラウドネスは-14LUFS
という説明をよく見ると思います。公表はされていないものの、ラウドネスメーターを使って-14LUFSくらいに全体の音量を設定しておくと、音量の問題は起きにくくなります。この「LUFS」という単位をもうちょっと深くみていきましょう。
まず知っておきたいのは、基準となる「0LUFS」がどんな大きさか、ということ。
規格によって違いがあるものの、だいたいこれくらいの認識で問題ないと思います。
0 LUFSは、0 dBFS @ 1KHzと等しい(ITU-R BS.1770-4とEBU R128の場合)
LUFSに加えて、dBFSという単位が出てきました。この「0dBFS」はデジタル機器で音が出せる最大値になっているので、比較的にわかりやすいでしょう。
16bitのデジタルデータの最大値は「1111111111111111」つまり+32767の信号が0 dBFS
デジタルデータは2進数で表されるため、全てが「1」で埋まる最大の音になると、これ以上大きくすることはできません(歪むことになります)。この値を「0dBFS」とするわけです。このことが先ほどのLUFSと関係していて、「0LUFS = 0dBFS」となります。
では、「-14LUFS」とはどんな値なのか。
LUFSの設計として、「1LU = 1dB」とされているので、このことからざっくりと、0LUFS を -14dBすると「-14LUFS」くらいになってきます。
今度は、-14dBがどれくらい、音を小さくするのかみていきましょう。
基準に対しての大きさを表す「dB(デシベル)」とは?
1LU = 1dBと考えると、今度は「dBとは?」という疑問になります。難しいことは置いておいて、-1dB下げるとどれくらい音が小さくなるのか、という考え方をしてみましょう。
dBの定義から、プラスのdBがどれくらい音を大きくするのか、マイナスのdBがどらくらい音を小さくするのかは、このようなグラフの指数関数になります。
基準値比=10^(dB / 20)
マイナスのdBを計算するときには、この公式が使えると思います。
つまり、-1dBするには、基準値から10^ (1/20)の逆数をかける、ということになります。
実際に計算してみましょう。
-1dBは約「1.122 分の 1」ということがわかります。
同じように計算すると、-14dBは約「5分の1」となります。
いちいち計算するのもめんどくさいので、よく使うdBの値を一覧にしてみました。
0 dB 1.000 分の1
-1 dB 1.122 分の1
-2 dB 1.259 分の1
-3 dB 1.413 分の1
-6 dB 1.995 分の1 = 1/2
-10 dB 3.162 分の1 = 1/3
-12 dB 3.981 分の1 = 1/4
-16 dB 6.310 分の1
-20 dB 10.00 分の1 = 1/10
-30 dB 31.62 分の1
-40 dB 100.0 分の1 = 1/100
-50 dB 316.2 分の1
-60 dB 1,000 分の1 = 1/1000
-6dBすると半分、-20dBごとに0.1倍(10分の1)まずはこれくらい覚えておくといいでしょう。
dBがどれくらいに音の大きさを変化させるのかは、動画を編集したりしているとだんだんわかってくると思います。
まとめ:ラウドネス指標「LUFS」とデシベル「dB」
話をまとめると、YouTubeの基準である「-14LUFS」というのは、
0LUFSを-14dBした「5分の1」くらいの大きさ
と考えるとイメージしやすいのではないでしょうか。
わたしが実際にディレクターの業務をするときには、動画編集の担当者に「BGMを-5dB(1.78分の1に)してください」とお願いしたりしています。
このラウドネス(LUFS)を管理するために、わたしはFinal Cutの「MultiMeter」を使うことが多いですね。
矢印のところにLUFSが-14dBくらいで表示されています。
Final Cutでラウドネスを管理する場合のやり方は、こちらの記事で解説しているので、参考にどうぞ。